2016年10月28日金曜日

陶芸窯、塗り替え。REFRESH!

2009年に築窯してから7年が経過し、本焼150回以上、素焼きや金彩焼き付けも加えると500回近い繰り返しの燃焼で制作を共にしている灯油窯も外観の痛みが目立つようになってきた。
特に1300℃近い温度帯で引っ張ったりもするので表面の鉄板に伝わる熱変化も大きいことが予想され、分厚い鉄板でも放置しておくと穴があいてしまう怖れもある。




















扉も煙道まわりも大分錆びている、、、。
窯焚きする時は一日に何度も窯の前に行き、燃焼ピーク時には窯をじっと見つめて中の様子をイメージする時間がある。
そんな大事な時間に錆が気になって「あ〜修理しなきゃなあ〜、、、」等と考えてしまうのはなんとももったいない。
ということで、制作に没入する前の今、塗り替えをすることにした。

塗り替えの要はなんといっても丁寧に下地をつくること。
そしてこの作業が一番大変、、、。



まずはスクレーパーで浮いた古い塗装を剥がし、あとはワイヤーブラシでとにかく錆をこすり落とす。グラインダーは必須。マスクとゴーグル、丈夫な手袋も必須装備です。

錆を落とし切ったら良くホコリを払って、全体を灯油で綺麗に拭き上げます。
ここまでやればひとまず疲れ切ってヘトヘトです。


塗装前には表面に残っている灯油もしっかりと拭いて、まずは下地塗料(#903 グレー)を塗ります。
仕上げ塗りの耐熱塗料(okitsumo #15 シルバー、〜300℃)との密着効果アップを狙います。
(塗料の余り具合から見るとこのサイズの窯では0、8リットル缶で充分なようです。)

グレーの下地を塗ったところ。薄塗りの方が塗装膜がよく硬化し剥がれにくくなるとのこと。

上塗りもなるべく均一に薄く塗ってリフレッシュ!


ついでに柱や燃料タンクも塗装して綺麗になったので、見ていてすがすがしく気持ちがよいです。
次の素焼きまで時間もあるのでじっくりと塗膜を硬化させます。

実際の作品制作と別作業ではあるのですが、どうもこのあたりは作品の焼き上がりに影響してくる様な、やはり関係ない様な、なんだか不思議な感覚です。

しかし制作環境を綺麗に保ちたいのは僕の性分でもあるので、窯の前で過ごす時に少しでも気楽でいられる事はやはり制作環境として、とても良い事なのでしょう。







2016年5月15日日曜日

業火?


2016-burning-

お見守り頂きありがとうございました。
暖かな応援のお陰様でまた一山超えることが出来ました。
感謝です。
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-burning-

「業」というもの。
私にとっては陶芸そのもの。
喜び、苦難、生きる道をつくるもの。

行いはすべて自らに還ってくる。
造形の行い、釉薬の行い、焼成の行い。
窯出しはその報いだ。

願わくは全ての物質の活かされることを。
願わくは自らの行いの透徹なることを。

私は、
自らの行いによって
自らを焼き払う。


2016,05
Haluya Yoshida

2016年4月21日木曜日

2016 個展のお知らせ。


5月2日(月)〜5月7日(土)11:00-19:00(last day 17:00)
Galleria grafica bis (中央区銀座6−13−4)

吉田晴弥展 "BURNING"

毎回ながら展覧会で自分の今をさらすというのは、怖れもあり恥ずかしくもあります。
しかしやると決めた以上はやるしかないので、釉薬の構成や窯の火加減などの様々なこころみを通じ、窯出しの日に「今の自分の精一杯」と対峙するのですが、これが中々厳しい時間だったりします。。
自らの怖れや迷い、矮小な雑念の焼き付けられた土や釉を見る度に申し訳ないやら逃げ出したいやらで、無言で腕組み自問自答に入るのですが、やはりその状況から抜け出すには再度挑戦するのみなのです。
窯出しした作品に更に釉薬を乗せ更に高い温度で何度も何度も焼くうちに、初期段階で構想していた完成予想からは想像のできない色彩を発色させた何かが焼き上がったりします。
そこには想念の綺麗に焼き払われた清浄な景色が見えて来ます。
半ば意地とかヤケクソな行動でもあるのですが、そういった追い込まれた状況の中だけに現れる人間の特性なのかも知れません。
もしくは単純に高火度の燃焼が導きだす酸化金属の予測不能に透き通った化学変化なのかも知れません。
いずれにしても燃焼させたいものは、保身や怖れや迷いの類い。
見たい景色とは、それらの根ざす源、宇宙です。
焼けば焼くほど焼かれている様な気がする昨今ですが、燃焼の快感はやめられません。
お時間の合う方、ご高覧頂ければ幸いです。
吉田晴弥